この2つのタイプの体質は病気も異なる

その昔から満月の夜には、交通事故、夫婦げんか、刃傷沙汰、発狂する人、自殺する人が多いという統計がある。これは、月から放たれるあの青白い光が、人間の「気」(精神9をおかしくするという理由だと言われている。

このことから、気の滞り=気の病を解決するため\には、病気や人間だけを診ても、十分でないことがわかる。

心電図、筋電図、脳波という検査があることを考えれば、人間の心臓、筋肉、脳は、電気現象で働いていることがわかる。しかし、この3 つの臓器に限らず、人間を構成している細胞はすべて、プラスとマイナスよりなる電気によって働いているのだ。

漢方には、有名な陰陽論がある。森羅万象すべての宇宙の物体は、人間も含めて、陰と陽により成りたっていると考える。

「陽」とは、太陽、夏、昼など暖かく乾燥しており、「陰」とは、月、冬、夜のように、「冷え」の性質をもつ。雨(水) にぬれると冷えるが、その道も真で、「冷え」は湿気をもたらすと考え、水(湿) は、陰の属性である。また、陽は引きしまり(縮)、陰はダラリとのびて、力のない状態(拡) という特徴もある。

陽の色は、赤・黒・橙・黄の暖色で、陰の色は、青・自・緑など冷色である。体質でいうと、たいてい男は陽で、女は陰だ。
男でも、「ずんぐりむっくり、赤ら顔の高血圧のおじさん」と表現される人は、陽が強い。

陽性体質の人は、ひと言でいうと、筋肉が発達している人。人間の体温の50% 近くは筋肉で作られるのだから、陽性体質の人は体が温かく、活動的である。また、血色もよい。胃腸や声帯も筋肉でできているのだから、陽性体質の人は、胃腸の働きもよく(食欲があり)、声も太くて張りがある。

陰性体質の人は、色白で、水太りで筋肉が少ないので、体温が低く、動作も遅く、顔色も悪い。胃腸の働きもよくないので、食欲不振や便秘・下痢に陥りやすく、声も小さくかつ張りがない。体温が低く、赤みが少ないので、貧血(赤血球が少ない)や白髪になりやすい。

女性は、ほとんど陰性体質であるし、男性でも、色白で長身、髪の毛が多く、白髪になりやすい人は、陰性である。

陽性体質の人は、食欲旺盛で元気いっぱい、ほがらかで人にも好かれて、よい人生を送るが、栄養過剰、老廃物過剰、熱加剰で、高血圧、心筋梗塞、欧米型のガンなどでバタリと倒れ、短命に終わることが多い。日本の力士が長生きしないことを考えるとよくわかる。

逆に陰性体質の人は、冷えと水と痛みの病気で悩む。低血圧、胃炎、ルギー、リウマチ、神経痛など、死ぬような病気ではないのだが、不定愁訴があり、慢性的に悩みながらも、わりと長生きする。

うつ病、ノイローゼ(神経症)、自律神経失調症、自殺など、精神疾患=気の滞りの病気は、この陰の状態で発症する病気である。

よって、「陰の病気」に対しては、筋肉を動かし(散歩やスポーツ)、入浴やサウナ、カラオケ、趣味に打ちこむ、瞑想、何かに情熱を燃やすなどして、体を温める必要がある。

また、日ごろ、口にする食べ物も重要になってくる。現代医学、栄養学ではいわないが、漢方では、体を温める食べ物と冷やす食べ物を厳然として区別している。
ひと言でいうと、体を温める陽性食品は、ナトリウム(Na)の多い食べ物で、代表が塩である。体を冷やす食べ物は、カリウム(K)の多い食べ物で、その代表が酢である。

もう少し一般的に解説すると、「体を温める食べ物」は、北方産物(塩ザケ、そば、リンゴ、サクランボ、ブドウ、プルーンなど)、塩辛いもの(塩、みそ、醤油、明太子、佃煮、漬け物など)、牛乳以外の動物性食品(肉、卵、チーズ、魚、魚介など)、根菜類(ゴボウ、人参、レンコンなど)、赤・黒・橙・草色の外観の食べ物(紅茶、海藻、小豆、黒豆、納豆など)となる。

「体を冷やす食べ物」は、南方産物(バナナ、パイナップル、ミカン、レモン、メロン、トマト、キュウリ、スイカ、カレー(インド原産)、コーヒー( エチオピア原産)、緑茶(インド原産) など)、水っぽいもの(水、酢、牛乳、ビール、ウィスキー、コーラ、ジュースなど)、葉菜類(柔らかく、うすくて広がり、青白い色)、(青) 白い食べ物(白砂糖、自パン、化学調味料、化学薬品など)…ということになる。

体を冷やしも温めもしない陰陽の相なかばした間性の食品が、玄米、黒パン(玄麦)、トウモロコシ、芋類、豆類、雑穀(アワ、キビ、ヒエ ) など人類が主食にしてきた、外観が黄〜うす茶色の食べ物である。

間性食品は、陽性体質の人も、陰性体質の人も、いつ、どこで食べてもよい。よって、主食になり得たわけだ。
陰性体質の人は、陽性の食べ物と間性の食べ物をしっかり食べ、陽性体質の人は、陰性の食べ物と問性の食べ物をしっかり食べれば、健康になるし、それぞれの病気を治す大きな原動力になる。陽性の人が、陽性食品を、陰性の人が陰性食品を食べすぎると、病気が悪化する。

  • 陽性の人
    男性、とくに禿頭、暑がりで血圧高め、筋力があり活発、便秘がち
  • 陰性の人
    女性、男性でも白髪、冷え性、低血圧、下痢(または便秘)、体力ない、朝弱く、よいっ張り

かかりやすい病気

  • 陽性の人
    高血圧、脳卒中、心筋梗塞、便秘、欧米型ガン(肺、大腸など)、糖尿病、痛風など
  • 陰性の人
    低血圧、貧血、胃炎、潰瘍、胃ガン、 アレルギー、リウマチ、痛みの病気、うつ病、精神病、自殺、むくみ、膠原病、バセドゥ病

食べ物

  • 陽性食品
    北方産の物(固い食べ物)、赤、黒、橙、黄色のもの、塩、みそ、しょうゆ、明太子、根菜(ゴボウ、人参、レンコン、生姜、山芋)、黒っぼいもの(紅茶、海藻、小豆、黒豆)、日本酒、赤ワイン、梅酒、お湯割りのウイスキー
  • 陰性食品
    南方産の物(柔らかい、水っぽい食べ物)、青、自、緑色のもの水、ウィスキー、コーラ、ジュース、南方産(バナナ、パイン、ミカン、レモン、メロン、トマト、キュウリ、スイカ、カレー、コーヒー、緑茶)、白いもの(白砂糖、白パン、化学調味料、化学薬品)