「気の滞り」「水の滞り」「血の滞り」の3つとも、ということは万病の原因をとりさり、なんとなく、体調が優れない、だるい、やる気がでない…などの症状は現代医学では「異常なし」と診断される。東洋医学の場合、「気の滞り」「水の滞り」「血の滞り」を判別して未病を防ぐ。
「何となく気が重い、体の流れが悪い」という症状を、根本から治してくれる食べ物が存在する。それは生姜である。
医療用として日常使っている漢方薬約150種類のうち70%に生姜が含有されており、「生姜なしでは漢方は成りたたない」とさえいわれている。
漢方の原典というべき「傷寒論」に「生姜は体を温め血流をよくし、すべての臓器の働きを活発化させる。体内の余分な体液(水の滞り)をとり除き、ガスを排泄させ、消化を助ける」というようなことが記されているし、明時代に書かれた「本草綱目」には、「(生姜は)百邪(種々の病気) を防御する」と記されている。
漢方では、2000年も前から、生姜の効能を熟知しており、
- 胃薬(安中散)
- 肝臓の薬(小柴胡湯(しょうさいことう))(
- 風邪薬(葛根湯(かっこんとう))
- 腸の薬(桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
にもちいられてきたが、最近、西洋医学の薬理学でも、生姜の種々の効能を発見し、驚いているところである。
現代人に生姜が効果的だと見直されたのはここ最近です。
生姜の冷え取り力の実力 | パワー
生姜の効能は、
- 心臓を刺激し、血管を開き、血流をよくする
- 体を温め、発汗を促す
- 粘液(痰など)の分泌をよくする
- 肝機能の強化、白血球の機能の促進などを通して、体内の毒素の分解・処理(解毒)
- 胃腸内の殺菌作用
- コレステロールの低下作用
- 血小板の凝集力を弱める(血栓予防
- 発汗・利尿を促し、体液の流れをよくする
- エネルギーの流れをよくして、体に活力を与える
- 気を開く(抑うつ気分をとる)
- 副腎髄質を刺激して、アドレナリンを分泌させ、気力を高める
- 健胃作用
- 魚の臭みをとる作用
- 抗菌・抗原虫作用
- 鎮痛作用
1~7は、血の滞り(瘀血)を取り除く作用、8は、水の水の滞りを改善する作用、9~11は気の滞りを改善する作用。
などの作用が知られている。生姜の最大の効能を端的に述べると、「食べ物、血液、体液(水)、気(エネルギー)が過度に蓄積して、流れが滞ったときに、その流れを改善する」この地球上で唯一無二の特効薬ということができる。
生姜の副作用に関しては、種々の文献を調べてもほとんど見あたらないし薬品としての「生姜」を調べても、副作用の研究報告がない。
アメリカのFDA (食品医薬品局)でも、生姜はGRAS( 一般的に見て安全なハーブである)として、警告ラベルをつけずに一般の食品店で販売されている。よって、基本的には、生姜には体に悪い作用はないと考えてよい。ただし、次のような症状があるときには控える。
- 体が熱くてほてる
- 皮膚(体表)や舌が異常に赤い人
- ひどい汗あきの人
- 高熱(40度)を出している人
- 皮膚がひどく乾燥している
- 噸脈がある
- 脱水症状がある
- 血便がある
生姜湯やジンジャーティーを1日数杯飲むと、胃が焼けるとか軽い胃痛がする、という人がときどきいる。そのときは、少なめに飲むか、生姜の量を少なくしてみるとよい。それでも同じ症状があるなら、飲用を中止する。