ホメオパシーで日常的な病気対策をする

病の原因に治療法を見出す

ホメオパシー(病原因子と同じ性質をもつ物質の少量で治療する方法。同毒、同種、類似、療法ともいう)は、新時代医療ともいわれていますが、実際には二千年以上も前から存在する原理に基づいています。

医学の父と呼ばれるギリシャのヒポクラテスは、かつて「病の原因にその治療法を見つけよ」といいました。一言でいうと、これが現代ホメオパシーの哲学です。ホメオパシー(homeopathy)という言葉ですが、「ホメオ(homeos)」は「似た」、「パシー(pathos)」は「苦悩」を意味しています。

ホメオパシーの基本原則はごく単純です。ある病気の症状はからだが自然治癒しようとするサインなので、これまでの医療で行われてきたように症状を薬で抑えようとするのではなく、症状を完全に発症させてからだの自然治癒能力を引き出ねらすのが狙いです。

ホメオパシーは約二百年前に、ドイツの医師サミュエル・ハイネマンによって発見されました。有毒な水銀を含んだ薬品をむやみに使い、やたらと採血する当時の一般的な医療法に疑問を感じていたハイネマンは、もっとよい治療法があるはずだと考えていました。

ヒポクラテスが書いた、病気についての書物を読み、いまでは有名となった、ある実験を行いました。この実験で彼は、マラリアの民間療法に用いられるキナの枝(アカネ科の植物でアルカロイドを含む)を自ら食べたのです。

彼はキナを食べ、マラリアの症状に似た高熱を出しましたが、食べるのをやめるとすぐに症状は消えました。彼は直感的に、健康な人がキナを大量に食べてマラリアに似た症状が現れるのなら、マラリア患者が少しだけ食べるとからだの治癒力を刺激できるのではないかと考えました。
長年にわたって実験を重ねた結果、ハイネマンは「似たもので治療する」という理論にたどり着きました。

つまり、大量に服用すると健康な人が病気になる物質を、その病気の患者に少量投与すれば病気が治るというのです。ワクチン注射(ごく少量のウィルスによって体内の特定の病気に対する抗体を生成させる方法)も、この「似たものの法則」に基づいています。

ハイネマン博士は何年もかけて、健康な人にさまざまな薬品の効果を試しました(彼はこれを「実験」と呼びました)。彼の研究は著書「慢性疾患、その性質とホメオパシー療法」に発表され、医学に革命を起こしました。とくに興味深いのは、彼がフロイト(オーストリアの著名な精神科医)よりも数十年早く、精神状態と病気には深いかかわりがあることを認識していたことです。

ホメオパシー薬は、大量に摂取すれば治癒したい病気と似た症状が現れる物質をごく薄くしたものです。たとえば、たいていの人はご存じでしょうが、イぺカック(吐根/トコン:吐剤として用いる)を大量に摂取すると吐き気や胃の不調が現れますが、ホメオパシーで用いるごく薄いイぺカックは吐き気や胃の不調を治すのに用いられます。

ホメオパシー治療薬の効果は希釈量に反比例します。たとえば、1万倍希釈のホメオパシーは10倍に希釈する過程を4回繰り返します。これに基づいて考えれば、10倍希釈は2倍希釈や4倍希釈、6倍希釈よりも効果が高いということです。

つまり、薄ければ薄いほど効果は高くなります。ホメオパシー理論ではある物質を薄めることをポテンタイズ(効能効果助長)といいます。

ホメオパシーは19世紀にヨーロッパやアメリカで広まり、数々の成功をおさめました。たとえば、1879年にニューオリンズで黄熱病がはやったとき、ホメオパシー治療を行った患者の死亡率は5.6 %でしたが、従来の医療法による患者の死亡率は16 %でした。コレラの治療でもホメオパシーは従来の医療法と比べて生存率が非常に高かったと報告されています。

20世紀になり、アメリカでは多くの医師がホメオパシーを取り入れるようになりましたが、医学の焦点が抗生物質などの薬品へと移行したために、ホメオパシーは敬遠されるようになってしまいました。しかし、現在でもヨーロッパでは、従来の医療法と並んでホメオパシーが実践されています。

事実、英国王族はホメオパシー治療を受けています。アメリカでは最近になって、さまざまな代替医療法とともにホメオパシーへの関心が復活しています。一般的なホメオパシーは、ホメオパシー医師や療法士が患者に応じた調合で一種類の薬を処方します。これまでのやり方では、療法士は椅子に座って患者と1時間以上も話をし、患者の症状や性格からその患者にあった独自の治療を行います。この過程をレパートリゼーションといいます。

レパートリゼーションの目的は病気を治癒することだけでなく、患者の「活力」や体内エネルギーを考慮した治療法を見つけることです。治療法は患者の症状だけでなく、性格や行動によって決まります。たとえば、かなしみが強く涙もろい頭痛患者と短気で反抗的な頭痛患者とでは異なる薬を処方します。

さまざまな点で、これまでのホメオパシー医師は療法士でもあり、精神科医でもあったのです。現代のホメオパシーは、その名が示すとおり、二百年の歴史をもつホメオパシー医学をもっと現代的にしたものです。もはやホメオパシー薬を手に入れるためにホメオパシー医師にかかる必要はありません。

自然食品店や薬局で多くのホメオパシー薬が売られています。ホメオパシー薬を使うのに、ホメオパシーについて詳しく知る必要もありません。ほかの市販薬と同じように製品ラベルに明記してあります。ほかの市販薬とまったく同じように、同じ症状に対して使えばよのです。

たとえば、風邪やインフルエンザ、頭痛、消化不良、不眠症などにホメオパシー薬を使うのです。ただし、24時間以内に回復しなかったり、悪化した場合、それは医師や自然療法士のところへ行ったほうがよいということです。

ホメオパシー薬は薄いので副作用はありません。ほとんど検出不能なくらいまで希釈した治療薬でも効果があるのか、疑問に残ります。ホメオパシーはまったく効果がないと考える科学者もいます。

しかし最近、いくつかの研究が成功し、ホメオパシー薬がさまざまな病気に効くことがわかっています。ニカラグアで行われ、「小児科」誌に発表されたある有名な研究で、アメリカ人医師ジェニファ・ジエイコブは子ども(生後6ヶ月から5歳まで)の下痢のホメオパシー治療薬について、偽も薬を用いた二重盲検を行いました。

ホメオパシー薬を与えた子どもは、偽薬を与えた子供と比べて非常に短期間(5日以内)で回復しました。

「イギリス医学」誌と「ランセット」誌に発表された研究によると、ホメオパシー薬はリウマチ性関節炎や頭痛、胃腸疾患、足首のねんざなど、市販薬で治療してしまうような病気に効果があるそうです。科学者はホメオパシーの効果を説明するのに躍起になりましたが、理論はまったく素晴らしいものです。磁気共鳴画像(MRI)などの非常に高度な技術を用いてドイツの生物物理学者が行った研究によると、ホメオパシー治療は計量可能な核物質独特の電磁信号を発します。

つまり、ホメオパシー薬は本来の治療効果が検出不能なほど希釈されていても、分子レベルでは効果があるのです。現在、世界中で約5億人がホメオパシー治療を受けているとされています。フランスのホメオパシー製品「オシロコシナム」は風邪やインフルエンザの市販薬のなかでもっとも売れている製品で、アメリカでも人気が出はじめています。

いまや二千種類以上ものホメオパシー薬があります。製品の多くにはハーブが含まれていますが、ホメオパシー薬はポテンタイズ(希釈)されているので、ほかのハーブ治療薬とは異なります。

ホメオパシー薬はFDAによって規制されているため、製薬会社と同じ製造方法を遵守する必要があります。しかし、FDAの承認を受けた薬と違って、費用のかかる面倒な承認申請過程を行う必要はありません。

次に挙げるのはホメオパシー治療に用いられることが多い薬です。たいていの市販薬は、何種類かのホメオパシー薬の複合剤です。たとえば、インフルエンザを治す製品には呼吸器せきの痛みや咳、頭痛、からだの痛みに効果のある、種類の異なる治療薬が配合されています。

風邪やインフルエンザにはアコニットを
モンクスフッド(セイヨウトリカブト)として知られるアコニットは、風邪やインフルエンザ、内耳感染症の初期に飲む薬に配合されています。のどがちくちくしたり、寒気を感じるようになったらアコニットが必要です。この薬は不安感や恐怖が原因で起こる不眠症にも処方されます。
アレルギーや花粉症の治療にはタマネギガ効く
タマネギを切るとどうなりますか? 目がうるみ、鼻が詰まって風邪をひいたような状態になります。「似たもので治療する」原則によると、赤タマネギからつくられるこの薬は、鼻風邪やアレルギー反応、花粉症の治療に用いられます。
挫傷やねんぜ、筋肉の緊張の緩和にはアルニカを
アルニカ(ウサギギク)は挫傷やねんざ、筋肉の緊張などをやわらげるのに用いられます。軟膏を患部に直接擦り込んでください。アルニカは通常、内服しませんが、ホメオパシー薬のアルニカは安全で、痛みの緩和に用いられます。裂傷や出血している場合は使用を控えます。
下痢や.吐き気、胃痛、食中毒にヒ素を用いる
ホメオパシー治療薬では、アーセニカム・アルバム(ヒ素)などの毒も用いられます。ヒ素は毒物のため、大量に摂取すると死に至りますが、ホメオパシーでは下痢や吐き気、胃痛、食中毒などの治療に用いられます。面白いことに、ヒ素は乾癬などの炎症性の皮膚病治療に古くから用いられています。
高熱やひどい風邪、耳感染症などのホメオパシー
デッドリー・ナイトシェイドという別名をもつベラドンナ(セイヨウハシリドコロ)は、高熱やひどい風邪、のどの痛み、頭痛、痛みを伴う耳の感染症などのホメオパシー薬として登場しました。
痛みの症状が、右耳のほうがひどい耳感染症にべラドンナを処方します。一般的に、ベラドンナの効果が大きい人は、光に対して敏感だということです。
緊張性の頭痛、虚咳に効果のあるブリオニア
ブリオニアは、暖まったり動くとひどくなる虚咳の治療薬として人気があります。また、動くとひどくなったり、頭の右側にズキズキするような痛みを感じる緊張性の頭痛にも効果があります。

古くからのホメオパシー治療法では、仕事で消耗し、イライラしやすい激しいA型人格(メリカの心臓学者の造語。旺盛な競争意識、緊迫感、完全主義、独断といった特徴をもつことで、心臓病の危険性が高いとされている)の人にブリオニアを与えます。

カレンデュラは感染症とたたかい、治りを早める
カレンデュラやほかのハーブ(コンフリーやアルニカ、ビープロボリス)の軟こうは軽度の切り傷やケガに用います。カレンデュラには感染症とたたかい、治りを早める殺菌、抗真菌効果があります。
過剰な刺激や興奮による不眠症にコーヒーノキを
あなたは興奮しすぎて眠れないことがありますか? 焙煎していないコーヒーからつくるコーヒーノキは、過剰な刺激や興奮による不眠症の治療に用いられます。
胃の不調に効果のあるコロシント
l苦瓜としても知られるコロシントは、疝痛や胃の不調に効果があります。
ごく初期の風邪、アレルギー治療にアイブライト
アイブライト(コゴメグサ)は、ごく初期の風邪やアレルギー治療に用いられます。粘液が透明な場合(粘液が濃く、どろどろしている場合に用いられるタマネギとは逆)に処方されます。ホメオパシー療法士によると、涙目や目のかゆみにも非常に効果があるそうです。
高熱やのどの痛みにフェーラム・ホスホリカム
リン酸鉄ともいわれるフェーラム・ホスホリカムは、高熱やのどの痛み、扁桃腺のはれに処方されます。
純頭痛や不眠症、不安感にはゲルセミウムを
ゲルセミウムは鈍頭痛や不眠症、とくに翌日に対する不安感や、舞台負けによる不眠症などに鎮痛剤として処方されます。翌朝に大きな試験がある、仕事でプレゼンテーションをするのが不安で夜遅くまで眠れない、というときにゲルセミウムを試してみてください。
イグナチアは鎮静作用があり、心にやすらぎが必要な人に
「ホメオパシーのプロザック」と呼ばれるイグナチアは、かなしみや興奮、ストレスによるうつ状態や不眠症、胃の不調など、不安に関連した症状が見られる患者に処方されます。
のどの痛みに、スタグス・ホーン・クラブモス
スタグス・ホーン・クラブモス(ヒカゲノカズラ) は、温かい飲物を飲むとよくなるのどの痛みや、胃にガスがたまる、性的能力への不安感などの症状に処方されます。自信がなく、虚勢を張ったり冗談でごまかそうとするような人は試してみてください。
飲みすぎによる吐き気や胃の不調の治療薬マチン
マチンは、飲みすぎによる吐き気や胃の不調の治療薬としてもっとも人気があります。毒ナッツとしても知られるマチンには少量のストリキニーネ毒)が含まれています。ホメオパシー治療では、慢性的に胸焼けが起きる、ドキドキ、イライラの多い競争心の強い人に処方されます。
ホルモンバランスの回復に役立つバスクフラワー
PMSや生理痛、閉経期の感情の起伏などに悩まされているなら、ホルモンバランスの回復にバスクフラワー(セイヨウオキナグサ)が役立ちます。人に甘えたいとき、感情的になっているときに摂取します。子どもの疼痛をやわらげる製品にも配合されています。
-毒アイビーは関節炎やスポーツによるケガに
毒アイビーは、関節炎やスポーツによるケガにおすすめです。ひどくイライラしたり、落ち着たいドレようほうしんすいとうかない人は毒アイビーが配合された薬を塗りましょう。毒アイビーは帯状疱疹や水痘の症状をやわらげるのにも用いられます。
膀胱感染症に処方されるサルサパリラ
サルサパリラは、排尿時に焼けつくような痛みを感じる膀胱感染症に処方されます(膀胱感染症は悪化して腎臓疾患の原因となることがあります。薬を飲む前に必ず医師、あるいは自然療法士に相談してください)。
嘔吐や下痢などに、ベラトルム・アルブム
嘔吐や下痢、ムカムカしたり、気分がすぐれないときにはベラトルム・アルブムが効きます。ホメオパシー療法士によると、冷たい水ばかり飲んで、飲んだ直後に吐いてしまうような場合にベラトルム・アルブムがよいそうです。

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