医者が口にしない検査値の意味

肝機能検査である、GOT、GPT、LDH、LAP、ALPと同じ項に必ずγGTPという検査項目がある。正常範囲が60以内であるが、人間ドックや健康診断で、この値が0を超えようものなら、すぐ「酒飲み」の烙印が押される。
検査結果を説明するドクターが、γGTPの高い人を前に「あなたは、アルコールのとりすぎだから、今後控えないと、そのうちにGOT、GPTも上昇し、アルコール性肝炎や脂肪肝になり、何年後かには肝硬変になりますよ」と脅かすと、上戸のご仁たちは頭をかきながら、テレ笑いをし、「今後極力控えるように努力します」とへらへらする。

しかし、中には「私は一滴もアルコールは飲めません」という、γGTP高値の人もいる。そうなると、説明する医師のほうも困惑し、「それじゃ、胆石や膵炎の検査でもやりましょうか」という話になる。しかし、その検査をやっても異常のない人がほとんど。

アルコールを飲めないのに、また、少ししか飲まないのに、γGTPが高い人をよく観察すると、水、お茶、コーヒー、ジュースなど、水分をとるのが大好きな人である。
水分をとりすぎると、肝臓内を流れて胃腸に注がれる胆汁という消化液(水分の流れが悪くなり、γGTPが上昇してくる。考えてみると、ビールの93% 、日本酒の86.5% 、同じくワインの85~90% くらいが水分である。よって、アルコールを飲むということは、水分をとるということと同じことになる。

漢方では二日酔いのことをアルコールで酔うとは考えないで、「水」で酔うと考える。よく考えてみると、

二日酔いのときの症状は、頭痛、嘔吐、頻尿、下痢、鼻づまり(鼻水・くしゃみ) など、水の滞り(水毒)の症状である。二日酔いの漢方の妙薬は、五苓散(ごれいさん)

こう考えてくると、γGTPの高値は「水の滞り」を表わしていることになる。よって、アトピーや喘息、アレルギー性鼻炎など、アレルギー疾患の人にγGTPが高値の人が多いのも、よく理解できるのである。

アルコール過剰の人やアレルギー体質の人で、γGTPが高値の人は、水の滞りがあることを理解し、散歩をはじめ、スポーツや労働、入浴、サウナなどで、体を温めて発汗・利尿を促し、余分な水を出す方法を1つでも多く講じると、γGTPが下がってくる。γGTPが高く、酒好きで、どうしても酒がやめられない人も、この方法で発汗・利尿を促されるとよい。

こうした「水の滞り」のある人で、「毎日、だるくてだるくてしょうがない」とか「まったくやる気が起きない」と訴える人がよくいる。このとき、「私どもは誰でも、天気のよいカラッとした日には気分がよいし、雨の日は気分が落ちこんだり、やる気がしないことを経験したことがある。

体内に水が滞っている人は、1日中、1年中、雨の中にいるようなもので、だるいとか、やる気がしない…というのはあたりまえのことだ」と話して、後述する体内から水を排泄する方法を講じてもらうと、ほとんどの人が気力ややる気を回復してくる。このように、「水の滞り」は「気の滞り」を招くこともあるわけだ。もちろん、反対に体内のあらゆる生命現象を司り、体内の流れを調節している「気」が滞ると、「水の滞り」が起こることもよくある。

血行をよくして、体内の水の排泄を促すだけの薬が、不安や不眠にも奏功するといぅことは、余分な水分(水毒=水の滞り)が「気の滞り」の原因にもなり得るとの証拠である。

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