「血が滞る」と、手掌紅斑、くも状血管腫、下肢の静脈癌、痔…など種々の他覚症状が出現するうえ、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、のぼせなどさらに多様な自覚症状が出現します。これらの自・他覚症状は「血の滞り」が起きていることを表わす警告反応であると同時に、何とか、その「滞り」を改善しょうとする治癒反応でもある。
しかし、こうした「血の滞り」によって生ずる反応に対して、適切な処理をしないと、種々の病が潜在していくことになる。
小川のせせらぎも、流れがせき止められるとやがてドブ川になるように、瘀血(「血の滞り」)も長くつづくと、血液中の成分の過不足が生じて、血液が汚れてくるのである。つまり瘀血が汚血を作っていくことになる。
たとえば、糖や脂肪や尿酸の増加が、高血糖(糖尿痛)、高脂血症、高尿酸血症へ痛風) を引きおこし、赤血球の過剰が多血症(血栓症)を招く。尿素窒素ヤクレアチニンなどの老廃物の増加は、それ自体、腎機能障害を意味する。
こうした栄養過剰物や老廃物の増加は、単なるここに掲げた病名を起こすにとどまらない。そうした汚血が全身の細胞に四六時中接して、細胞を傷めつけるからである。
たとえば、尿素窒素、クレアチニンが血液中に増加した腎不全の状態になると、食欲不振、吐き気などの消化器症状に始まり、むくみ、高血圧、不整脈、うっ血性心不けいれん、肺水腫などの呼吸・循環器症状、痙攣、意識障害、知覚・運動障害などの脳神経障害のほか、吐血、下血をはじめ、全身が出血傾向を呈することもある(尿毒症)。
これは、血液の汚れが極まったときの症状であるが、それほどの汚れがなくても、汚血=瘀血は、全身60兆個の細胞をうすい毒ガス室に閉じこめたように、少しずつ機能麻痔に陥れ、病気に追いやっていくのである。
こうした瘀血=汚血から逃れるために、体は種々の反応を起こして、汚血を浄化しようとする。以下に述べる症状は、実は体の浄血反応である。
発疹・吹き出物
「皮膚病の三ない」と言われますが「わからない」「治らない」「死なない」という3つ。皮膚病で死ぬことはまずないが、原因がわからないことが多いため、治らないことも多いということである。
西洋医学では、皮膚病は皮膚に限った疾患と見るので、蕁麻疹や湿疹など皮膚の病気に対しては、抗ヒスタミン剤やステロイド剤、消炎剤を処方または塗布して、その発疹を止めようとする。
しかし、東洋医学では、発疹はすべからく瘀血=汚血の原因を体表を通して外に出して血をきれいにしようとする反応であるので、その治療に当たっては、逆に、体外への発散を促して血液中の老廃物を捨てて治そうとする。
風邪薬で有名な葛根湯も、体を温めて、発汗させ、老廃物を捨てる作用があるので、肩や首がこり、汗があまり出ない人の皮膚病によく効くことがある。
皮膚病は、大食の人で、あまり運動しない人に起こる傾向が強いが、それは大食の人の血液は汚れやすいという証拠である。
炎症
肺炎、気管支炎、胆のう炎、膀胱炎など、「○○炎」とつく病気(炎症) が起こると、西洋医学では、病原菌(細菌やウィルス) が悪いということで、抗生物質をもちいて、殺菌することに躍起になる。
しかし、よく考えてみると、細菌はドブ川やゴミためなど汚いところにしか存在せず、小川のせせらぎや南洋のコバルトブルーの海の中にはほとんどいない。細菌は、この地球上の不要なもの、死んだもの、余ったものを分解して、土に戻す働きをするためこの世に存在するのである。よって、体内に病原菌が侵入してきて、詣炎症を起こすということは、血液が汚れているということにほかならない。
血液の汚れを燃やしているので発熱するのである。また、血を汚す最大の原因が過食なので、炎症のある間は、食欲をストップさせる。これが食欲不振である。
動脈硬化・胆石・尿路結石など
汚血の浄化反応である発疹や炎症を薬物で抑えたり、また、加齢で、発疹を出す力や発熱する力が低下してくると、汚れた血が全身の細胞に巡っていかないように、血管の内側にコレステロール、中性脂肪などの余剰物とともに、尿酸やピルビン酸をはじめとする種々の老廃物を沈着させて、血流だけはサラサラにしようとする。これが動脈硬化である。通り道が細くなるので、心臓は力を入れて、血液を押し出そうとする。これが、高血圧である。
高血圧に対して西洋医学は、心臓の力を弱めるβ7ブロッカーや血管拡張剤を用いて一時しのぎをしようとするが、同じ食生活や生活習慣をつづけると、さらに血液が汚れ、ドロドロになる。そのため、血液の流れをさらにサラサラにするべく、血液の汚れが1ヶ所にかたまったのが、血栓である。血栓ができるのにも、理由が存在する。
同様に、胆汁や尿の成分が濃すぎたり、汚れて流れが悪くなると、その流れをサラサラに保つために、胆石や尿路結石ができてくると考えてよい。胆汁も尿も、もともとの原料は血液であるので、結石も「血の汚れ」が遠因と考えてよい。
出血やガン
血栓や結石、動脈硬化などの真因が、血液の汚れ(汚血=瘀血) と気づかずに、血栓溶解剤や血管拡張剤、手術などの対処療法をすると、体の自然治癒力は、血の汚れが全身の細胞に及ばないように、出血したり、血液の汚れの固まり(浄化装置)を作ろうとする。
鼻血、痔出血、胃潰瘍の吐血、脳出血、婦人性器からの不正出血などの出血は、すべて汚血の浄化反応と考えてよい。
昔から瀉血療法(治療の目的で、静脈から一定量の血液を抜く療法)が行われてきたのは一理も二理もあるわけだ。女性は思春期より約35年間の月経による出血(自然の溶血)がある。28日周期として年間13回、1回の生理が約6 日間とすると、6日×13回×35年=2730日となる。これは約7.5年間に相当する。
男の平均寿命78歳、女の平均寿命85歳の7歳の差は、一生の生理の日数ということもできるのだ。つまり、女性は生理によって血液を浄化しており、そのぶん寿命も長いと考えることもできる。
ガン細胞も、血液の汚れを浄化するために存在しているという説を唱えている学者しゆもいる。確かにガン腫瘍からは(ガン毒素) なる毒が出されていることを考えると、ガン腫は血液の汚れの浄化装置であると考えてもおかしくない。それに、ガンの場合、血痕(肺ガン)、吐血(胃ガン)、下血(大腸ガン)、不正出血(子宮ガン)、血尿(腎臓・勝胱ガン) のごとく、必ず出血をともなう。