ここでは、体内の余分な水分を排出する方法をあげる。次のうち、継続できるものを1つでも生活にとり入れていくとよい。

  1. ゆで小豆や赤飯を多用する(小豆のサポニンが、利尿作用に優れているため)
    ゆで小豆の作り方は、小豆50gを洗い、水600ccを入れた鍋に入れて、小豆が軟らかくなるまで、約30分煮つめてできあがり。汁だけ飲んでも豆と一緒に食べても可。
  2. 生姜湯、生姜紅茶で発汗と利尿を促す
  3. 日常的にごぼう、にんじん、れんこん、ヤマイモなどの根菜類を食べる
    ごぼうの含有成分のイヌリンや山芋には、腎機能をよくし、排尿を促す作用がある。
  4. スイカ糖を食べる
  5. ニラ、ニンニク、ネギ、タマネギなどを食べる。こうしたアリウム属の野菜や七味唐辛子のカブサイシンには、発汗・利尿作用があるので大いに利用する
  6. 労働やスポーツを十分にやり、筋肉を動かす。余分な水分を消費するし、腎臓の血流もよくして、排尿も促進、さらに、発汗も促す
  7. 入浴、サウナ俗にいそしむ。さらに、生姜風呂、塩風呂などで体を温めると、発汗作用が強力なので、水分がよく出ていく。

症例1「原因不明の発作も、水毒をとれば解決」

「冷」「水」「痛」の三角関係でご説明したように、「冷え」と「水」には密接な関係がある。

35歳の主婦で中肉中背、これまで、健康には自信をもっていたが、6月の梅雨寒のある日、自宅で午後のお茶を飲んでいる最中、突然、めまいがし、天井や壁がグルグルと回るのを感じた。同時に、耳鳴りと吐き気を強く感じ、ほとんど動けなくなった。

家族の手を借り、ベッドまで行くのがやっとで、それから丸2日間は同様の症状がつづいた。近くのお医者さんに往診を頼み、診察後、点滴をしてもらい、やっと3日目にべッドから起きあがれるようになった。お医者さんからは「たぶん、メニエール症候群と思われるが、脳腫瘍や脳梗塞などの病気の可能性を否定するためにも、1度、脳のCTとMRI検査を受けるように」と、いわれた。

検査の結果は、脳には異常なく、メニエール症候群だったとの診断が出された。「メニエール症候群の原因は何ですか」と尋ねても、「疲れが原因で起こることが多いので、きっと、あなたも疲れていたのでしょう」と、いとも簡単にいわれただけだった。

その後、半年はいつもと同じように健康に過ごしていたが、ある日の夕方、買い物から帰り一息いれるためにお茶を飲んでいたところ、突然、動悸が始まり、息苦しくなった。

脈をとってみると、すごい速さで打っており、しかも、ときどき、脈がとんでいる。このまま死んでしまうのではないかという恐怖感さえあった。ちょうど居合わせた中学生の娘さんに救急車を呼んでもらい病院へ行き入院、胸部レントゲン写真、心電図、血液検査、尿検査などをやってもらったが、「何の異常もない」とのこと。

症状も治まり、翌日には、退院できたが、また同様の症状が起こるのではないかと不安で不安で、外出もままならないという日がつづいていた。ちょうどそのころ、「漢方薬で何か予防する方法はないのか?」と考えていた。

漢方専門薬局の薬剤師が症状を聞いてすぐ、「あなたは、水やお茶を毎日かなりお飲みになるでしょう」と尋ねると、「どうしてわかるの」という顔をして「はい」と答えた。
「最近、体が冷えると感じませんか」と尋ねると、「3年前まではママさんバレーをやり、運動していたのですが、最近は、子供の受験勉強のためにスポーツもやめ、1日じゅう家にいることが多くなり、ここ2~3年、足や腰の冷えを感じるようになり、夕方になると足がむくむことがよくあります」と答えた。

「あなたの不整脈や頻脈の発作、それに、めまい、耳鳴りなどをともなうメニエール症候群は、漢方でいう水毒です。内耳のかたつむり管に存在する、平衡感覚を司っているリンパ液(水分)が多くなりすぎますと、平衡の調節がうまくいかず、めまいを生じますし、内耳の水分で、耳閉感や耳鳴りが生じます。」と説明を受けた。
このとき、吐き気や嘔吐があったのは、胃液という水分を捨てて、少しでも水毒を改善しようとする反応だったのだ。

このメニエール症候群の発作が梅雨時に起こったのも、この考えからすれば納得できるはずです。外気の湿度が高いと、体内の水分の発散が妨げられ、いつもと同じように水分をとっていても、体内は水分過剰、つまり水寿が生ずるのです。」と説明されると、「そういえば、めまいや耳鳴りがよくなる前日から、お小水がびっくりするほどたくさん出るようになりました。発作の前は、確かに尿の回数、量ともに少なかったようです。」と、水毒の意味を理解したようだった。

「不整脈や頻脈があり、心電図で異常のないときは、やはり漢方では水毒ととらえます。水分が体内にたくさん貯留していると、体を冷やし、種々の病気を起こしてくる原因になりますので、体としては、新陳代謝をよくして、早く水を使ったり、体外へ排泄したりしようとする。一番てっとり早い方法が、脈拍を増加させること、つまり頻脈なのです。すると当然、心臓に負担がきて不整脈も生じます。あなたの不整脈や頻脈は安静時に起こったし、メニエール症候群の発作も、安静時に起きたはずです。外出時や体を動かしているときは、筋肉を動かしており、筋肉が水分を使ってくれていますし、熟も産出して体が温かいので、こんな水毒症状は起きません。もし、頻脈や不整脈が、心臓が悪くて起こるのでしたら、体を動かしているときこそ心臓に負担がかかるのですから、外出時や労働時に起こるはずです。」と説明されると、表情がだんだん明るくなり、ここ2~3年、体をあまり動かさないのに水分をとりすぎていたこと、下肢、腰が冷えてもくつ下をはかずに過ごしたことなどが、体を冷やす原因になったことに気づいた。

食事

  1. 余分な水分を摂らない
  2. 生姜紅茶、生姜湯やクズ粉を入れたものを1日に2~3回のみ、利尿を促す
  3. 小豆は、利尿作用が強力なので、玄米(または白米)に、小豆を1~2割入れて赤飯にして食べる。ほかに、ゆで小豆を常用すると、利尿作用が強力で、水毒を改善するのによい。
  4. 夏は、利尿作用の強力なスイカに自然塩をふりかけて食べるとよい。なお、夏の間に、スイカ糖を作り、冷凍庫に保存し、適宜利用する。
  5. 食事は、生野菜、果物、緑茶、コーヒー、牛乳、ビールなど水分の多い陰性食品は避け、根菜類、魚介類、赤ワインなど体を温める陽性食品をしっかり食べる。

入浴など

  1. 生姜風呂などにより、体を温めて発汗を図る。サウナや温泉旅行んどは機会があれば、積極的に参加すること。
  2. 散歩、ラジオ体挽、ダンベル運動などをはじめ、機会があればスポーツをやり、筋肉での水分の利用や発汗を促すようにする。
  3. 万一、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、不整脈、頻脈などの発作が起きても、「たかが水毒」だと信じて気持ちを落ちつけること。
  4. 茯苓や白朮などの利尿作用を有する成分と、血行をよくする桂皮を含んだ苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)は、水毒よりくる、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、不安、不眠、ノイローゼによく効くので、しばらく服用する。

以上のことを心がけて毎日を送っていて、以後、5年経った今も、1回も発作は起こらず、健康そのものの生活を送っている。

症例2「高脂血症が生活療法で改善」

150cm45kgのやせ型、40歳代の主婦が検診を受けたところ、赤血球、白血球、肝機能、腎機能などにまったく異常はないが、血液中のコレステロールと中性脂肪が高い(高脂血症)という結果が出た。

担当の医師から「あなたは、肉、卵、バター、ハム、マヨネーズなどの欧米食が大好きなんでしょう」といわれたので、「私は小さいころから和食が好きで、肉の脂を見ただけで吐き気がしますし、牛乳を飲むと下痢をしますので、これまでほとんど口にしたことがありません」というと、「それでは、あなたは便秘体質ですか?」といわれたとのこと。

毎日、肝臓で合成されるコレステロールは、胆汁とともに腸に排泄され、大便で排泄されるのが、便秘をすると捨てられるべきコレステロールが腸から血液のほうに吸収されて、血中のコレステロールが上昇するので、便秘が高脂血症の原因になることが多い。

しかし、「私は下痢症で、食べすぎ、脂っこいもののとりすぎ、牛乳などですぐ下痢をします」と答えると、医師は首をかしげ、「それでは、あなたの高脂血症は、遺伝的な家族性の高脂血症でしょう。兄弟、親、子供さんらと一緒に精密検査を一度してみましょう」との答えが返ってきた。

少し水分の多い食べ物を食べても下痢をしてしまう。トマトやコーヒーでも下痢をするという下痢症なのだ。となると、自然医学的には、答えは簡単。
「カマドに石炭を、また、ストーブに石油を入れ火をつけると、石炭や石油は燃えますね。でも、火をつけなかったり、せっかく火をつけても、水をかけた㈱ら燃えずに石炭や石油が残りますね。体のエネルギー源になっているのは、コレステロールや中性脂肪なんです。つまり、石炭や石油にあたるものです。冷え性ということは、こうした燃料があっても、十分に火で燃やしていないために、燃料が残っている状態なんですよ。それが高脂血症です。」と医師がいうと、不安そうだった顔がみるみる納得の表情に変わった。そして、

  • 水、お茶、コーヒー、コーラ、ジュースなど、体を冷やす水分をとりすぎないこと
  • 毎朝、毎夕に生姜湯を1~2杯ずつ服用すること
  • みそ汁、醤油、明太子、ちりめんじゃこ、など塩の漉い食べ物も十分にとること
  • 毎日、散歩すること
  • 風呂には十分に長く入り、できれば、自然塩を浴槽に入れて、保温を高めること

などを実行したところ、半年後には270mg/dlあったコレステロールが210mg/dlに、300mg/dl あった中性脂肪が160mg/dlに減少し、下痢もしなくなり、大変快調になった。

症例3「総合病院で解消しなかったむくみのとりかた」

実年齢よりもかなり若く見える65歳になる女性の症例。こちらの女性は、今も現役で会社も経営されているのだが、疲れがたまったり、寝不足がつづくと顔、手、下肢がむくみ、便秘になって、体が重く、心身ともにスッキリしない症状。

近所の総合病院で受診して検査をしてもらっても、心臓、腎臓ともに正常で、血液中のタンパク質も十分にあり、むくみの原因は見つからないとのことだった。
血圧は、110/70mmHG、と年齢にしては低く、朝方も何かやる気がでずに、昼から夕方にかけて元気が出る、とのことで、いわゆる低血圧症である。体温も平均が36度と低い。これは、つまり、新陳代謝が悪いのである。

冷えると水の代謝つまり水分を排泄する力が弱くなるので、どうしても体に水がたまる。そこで生活習慣の注意事項をまとめ、それを実行してもらうことにした。

  • シャワーですませていた入浴を、毎日、ゆっくり湯船に入って体を温める。
  • サウナに週2~3回入ること(サウナに入った後は、これまでもむくみもとれ、スッキリしていたという)。
  • 生野菜、果物、サラダ、酢のものなど、体を冷やす食べ物の摂取は極力さけ、むしろ、塩のきいたみそ汁、漬け物、明太子、ちりめんじゃこなどもほしいときはしっかりとり、体を温めること
  • 朝の散歩は欠かさずやること(1日20~30分)
  • 下腹部や背部の腎臓のある位置には、保温をする器具(カイロや温湿布など)をあてること

などを守っていると、尿の回数も1回の量も増え、よほどのことがない限り、むくむことがなくなった。

症例4「薬が効かなかった肝炎が回復」

10年前に職場の健康診断でGPT60とやや高値なので、病院で受診するようにいわれ、大学病院に通院するようになり、6年前にC型肝炎という診断がくだされた45歳の男性。

側湾症による腰痛もあり、とにかく、良質の高タンパクをとり、食後1時間は右を下にして休み、日ごろの生活も安静を守るよう指導され、いわれるとおりの生活療法をしたが、何となく体の流れが悪いような感じで、体が重く不調で、GPTも60~90 の間を推移して、一向によくなる気配がない。

2年前に「インターフェロン療法」をすすめられ1ヶ月入院し、その後、外来でさらに1ヶ月の通院、インターフェロンの注射を受けた。
治療中は全身倦怠感、脱毛、発熱、うつ状態など種々の症状が出たが、それに耐えた結果、GPTも30以内になり、主治医からももう「大丈夫」といわれ大喜びをしたのもつかの間、約1ヶ月後にはGPTが何と1000にも上昇してしまった。

主治医からは「リバウンド」といわれ、強力ミノファーゲンCの注射を以後ずっと1日おきに1年以上も続けた。それでもGPTが150くらいと一向に正常になる気配がない。

C型肝炎の一般の経過は慢性肝炎→肝硬変→肝ガンといわれているし、このままでは将来が不安、ということで別の治療を模索。

問診により、とくに目立つ自覚症状はないが、10年前に患った腎臓結石のために、毎日、無理して大量の水分を摂取しているよう。
人間にとって水は、生命にとっても一番大切なものではある。しかし、漢方では「水毒」という概念があり、余分な水分は、体を冷やし、体内のすべての液体( =血液、リンパ液、胆汁、尿など)の流れを悪くし、いろいろな障害を作りだすと考える。「冷→水→痛」の関係より、余分な水分は、冷えをつくり、痛みの原因にもなる。

症例6「水分を流し出す基本食だけで健康をとり戻すことができた」

日ごろはスポーツマンで、年齢よりも若く見られ、すこぶる元気であるが、「今年の夏、ビールを飲みすぎ、下痢をした。その後、胃腸の調子が悪く、食欲はあるのに、腹の中のガスのため、あまり食べられない、ゴロゴロと腹鳴がする、ときどきものすごい腹痛が襲ってくる、という60歳男性の症例。
ガスコンという薬を処方されたが、同様の症状が2週間以上もつづいている。

ビールの飲みすぎで、腸を冷やし、腸内細菌のバランスの乱れ(善玉菌の減少、悪玉菌の増加) が生じた結果なので、まず、よくかんで少食にし、梅番茶を朝、昼、夕の3回、食前に飲用してもらうことにした。すると、2日目ごろより腹鳴がなくなり、腹痛も消失し、スッキリした便が出て食欲も湧いてきた。1週間ですっかり元の健康体に戻って、以後、大の生姜ファンになった。
毎日、みそ汁には生姜をきざんで入れ、冷や奴を食べるときも、おろし生姜を使う。

冬の冷えには「金時しょうが」を使って便秘を解消にもあるように、便秘解消効果にも生姜はおすすめだ。